ライセンス無し
あらすじ
幼少期に母親を病で亡くし、鹿児島から一人で上京した倉下月海は大のクラゲ好き。定職にもつかず、天水館という下宿で独特のオタク趣味を持つ同じくニートの仲間たちと、慎ましく共同生活していた。そんなある日、ペットショップで売られているクラゲの扱いを巡って店員と口論になる。そこに現れたのはオシャレで背の高い美女だった。彼女がクラゲを購入してくれたことで問題が解決し、恩義を感じた月海は彼女を天水館に泊める。しかし、翌朝隣で寝ていたのは紛れもなく男だった。地元の政治家鯉渕慶一郎の次男である鯉渕蔵之介。「女装男子」という趣味を持つ蔵之介に月海は大慌て。なにしろ天水館は男子禁制。尼~ずと呼ばれる他の住人たちに知られては一大事であった。どうにか蔵之介を帰すことに成功したが、蔵之介は内気だが一風変わった月海に興味を抱き、改めて天水館を訪れる。オシャレ美人という蔵之介(蔵子)に尼~ずたちは気後れするが男だとは気づかず、持参の食べ物に釣られて出入りを許してしまう。蔵之介は月海が実は美人だと見抜き、自宅に招いた彼女にメークを施しドレスを着せる。すっかり見違えた月海は自分自身の姿に戸惑い出ていくが、それを蔵之介の弟で慶一郎の秘書である修に見られ、一目惚れされてしまう。だが、後日月海の服を返しに行った修は天水館で会った陰気な女性が月海だと気づかずにつれない態度をとってしまう。蔵之介は月海に自信を持たせるため修とのデートをセッティング。修は月海にいよいよ好意を抱くようになり、月海も修に憧れるようになる。 その一方、枕営業を得意とする稲荷翔子の会社が天水地区の再開発事業に着手し、強引な手段で土地を買い漁っていた。翔子は名士である慶一郎を再開発推進派に加えるため、その息子である修を篭絡せんと画策。修を昏倒させた翔子は既成事実として修との一夜があったように仕向けるが、修は幼少期のトラウマが原因でいまだ「童貞」だった。再開発地区には天水館も含まれていた。他に行き場所のない尼~ずは事態の打開を図ろうとするが、そもそも対人関係が苦手な人間ばかり。そうした危機に蔵之介が一計を案じ、彼女たちは月海がクラゲをモチーフにデザインしたドレスを制作・販売することで富を得て買収計画を阻止しようとする。 やがて月海の正体が修に発覚。修は改めて月海への気持ちに目覚める。更に慶一郎は翔子にダマされ再開発推進派に回る。そんな状況に悪戦苦闘を重ねる月海と蔵之介だったが二人の間には友情以上のなにかが芽生えようとしていた。やがて月海の持つファッションセンスはある人物に知られ、彼女の才能を高く評価するその人物の登場により、事態は更にややこしくなってしまった。