Sway

グローバリゼーションの時代に、自由に移動するということは、確かな拠り所のない生活を伴いがちだ。多くのカップルたちがお互いのつながりと、自分たちがかつて故郷と呼んでいた場所とのつながりを保とうと苦労している。そのことは、アーサー (マット・ウー) とヴィヴィアン (ホワン・ユー)のカップルにも当てはまる。パリへの移住者で、そのビザがもうすぐ期限切れとなるアーサーは、セレブとしての多忙な生活から逃れるために、パリにやって来た、かつての有名女優、ヴィヴィアンと共にこの4年間を過ごしてきた。この都市で過ごせる時間が終わりに近づき、アーサーは遠回りの帰路の旅を始めるので、ぜひヴィヴィアンに一緒に付いて来て欲しいと思っている。自らのキャリアが大切なヴィヴィアンは、アーサーの希望に沿いたいとは思っていない。こうした出来事により、2人は各個人として、カップルとして、自らの願望をじっくり考えることになる。 アーサーとヴィヴィアンが、2人の恋愛関係を定義するのに苦しんでいるのと全く同じように、最近結婚したアメリカ人の継母、アマンダ(クリス・ウッド・ベル)も、新しい家族の中で、自分の居場所を見つけることに苦労している。妻を亡くした日本人男性との結婚により、アマンダはこれによって生じる感情の起伏に対処する方法を見つけようとして苦しんでいる。アマンダは、夫の亡き妻の影から抜け出す方法が、そもそも見つかるのかどうか確信が持てない。アマンダが自分の新しい生活に合った方法を見つけようとしている一方で、 ジュン (サジー・アピウォン) とパーム (アナンダ・エバーエンガム)は、自分たちの新たな生活を始めようと真剣に考えている。バンコク在住のこのカップルは、アメリカへ引っ越す機会を得るが、ジュンには故郷を離れることが最善策なのかどうか確信が持てない。 登場人物それぞれが、自分自身のアイデンティティーや帰属に関する苦悩に直面しており、それぞれ異なる3組のカップルは、自分たちが最も求めているものは何なのか、自分たちが本当に寛げる場所は世界でどこなのか、ということを決めなければならない。 知的で感動的なストーリー、『Sway』はルース・タングが 脚本・監督を担当した2014年の映画だ。